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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(し)11号 決定

本籍および住居

熊本県飽託郡芳野村大字大多尾七九四番地

福岡刑務所拘置区在監

内田又雄

右の者に対する強盗殺人被告事件の有罪の確定判決に対する再審請求事件について、昭和三〇年三月一八日熊本地方裁判所のした再審請求棄却決定に対する即時抗告につき、同年一二月二三日福岡高等裁判所のした抗告棄却の決定に対し、右の者から特別抗告の申立があつたので、当裁判所はつぎのとおり決定する。

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告申立の理由は、憲法違反および判例違反をいうけれども、その実質は、本件につき刑訴四三五条六号の事由が認められないとした原判断に対し、独自の見解にもとづいてその単なる刑訴法違反を主張するに帰着し、特別抗告の適法な理由にあたらない(なお、刑訴四三五条六号にもとづく再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、再審の請求が理由があるかどうかを判断するためには、必ずその証人の取調をしなければならないものでないことは、当裁判所の判例とするところである。昭和二八年(し)一二号同年一一月二四日第三小法廷決定・集七巻一一号二二八三頁、昭和二九年(し)六〇号同年一一月二二日第二小法廷決定・集八巻一一号一八五七頁参照)。

よつて刑訴四三四条・四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 垂水克己)

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